十勝毎日新聞社の森作りによる環境貢献活動を原点に生まれた「十勝千年の森」。訪れた人は、約400ヘクタールの広大な敷地を舞台に、森、ガーデン、農業、アート、食など、様々なかたちで豊かな自然と触れ合うことができます。
P3は「アートライン」のディレクションと作品設置のコーディネートを担当しました。国内外の作家によるアート作品が森に点在し、大自然が醸し出す「森の時間」、先住民の思想や開拓者の苦労に思いをはせる「記憶の時間」、そして宇宙が刻む「悠久の時間」、それぞれの作品が、この土地が持つ多層的な時空風景を読み解く「ゲート」となることを目指しました。
「十勝国際現代アート展デメーテル」(2002)で展示されたインゴ・ギュンターの作品「時折、形を成す中小210の断片」や、オノ・ヨーコの「スカイTV」を皮切りに、以降も、アーティストと協働し作家のディレクション、作品設置のコーディネートを担いました。
*作品公開を中止している作品もあります。
・インゴ・ギュンター「時折、形を成す中小210の断片」(2003)
北海道の開拓時代、人間が生き延びるために身近な存在だった馬。サイロの中で、骨格だけの馬が、豊かさを象徴する金箔をまといながら、ユーモラスに、ときには悲しげに揺れている。
・オノ・ヨーコ「北海道のためのスカイTV」(2005)
この土地に残されていた開拓農家の廃屋に最小限の修復を施し、4作品を設置。本人による「空」に関する言葉の作品(インストラクション)の朗読ビデオも上映。
北海道のためのスカイTV 1966/2005
北海道のための念願の木 1996/2005
雲の曲 1963/2005
青い部屋のイヴェント 1966/2005
・サミ・リンターラ「天の川の橋」(2007)
静寂に包まれた森の中を流れる小川の上に橋をかけ、小さな滞在空間を設置。小川のせせらぎ、森の葉音、鳥の鳴き声、周囲のすべてがアートに思えてくるような時間が紡がれる。
・岩井成昭「幣のフィールド」(2008)
ワークショップで幅広い世代が制作した、ひとつとして同じものはない、純白に焼成された小さな陶のオブジェたち。それらを敷き詰めて生み出された白いフィールドは、現代に生きる私たちと過去の人々、そして未来の人々をつなぐ贈り物となる。
・ディディエ・クールボ「七つのダイヤモンド」(2008)
「七つのダイヤモンドがこの土地の七つの場所に秘かに置かれた」と刻まれた石碑を設置した。碑文を読んだ一人一人の眼差しが変化し、この先出会う風景をこれまで以上にじっくりと味わい、小さくても素敵な発見があることを期待して。
・長澤伸穂「時の彫刻−コロポックル」(2012)
時間がゆっくりと大地を彫刻する自然とのコラボレーション作品。十勝の草花の種を埋めた土のたまごを設置し、芽吹き、育つ植物に、人々がこの森を育て未来に遺すことへの願いを込める。 *「北海道ガーデンショー」(2012年)招待作品
実施期間:2002年〜2012年
十勝千年の森 「ART LINE アートライン」
アートディレクション:芹沢高志(P3 art and environment)
コーディネート:P3 art and environment
十勝千年の森
とかち国際現代アート展「デメーテル」