「ワールド・プロセッサー」は、ドイツ生れのメディアアーティスト、インゴ・ギュンターが1986年から制作している作品群。中に電球の入った直径30センチほどの地球儀を素材として、そのひとつひとつに地球上で起きている様々な問題や現象を表現しています。

テーマは、環境、政治、経済、軍事など、物理的、地理的、社会的なあらゆる範囲に及び、それぞれのタイトルは「オゾンホール」「熱帯雨林の減少」「100カ国語の地球」「TVの普及率」「現在紛争が起こっている地域」、さらには「ヴィトゲンシュタインの世界」など抽象的な概念を表したものも。様々な地球の顔が一堂に会すことにより、緩やかな網の目のような関係性を持った、あらゆる事象を含む世界が杳々と、しかし確実にそこに立ち現われます。「ワールド・プロセッサー」は、現代社会と地球が直面している問題、希望そして美を俯瞰するためのインターフェイスです。

メインギャラリーには108個のイルミネーションの地球儀が整然と並べられ、観客はその間を自由に回遊。各々の地球儀にはタイトルもキャプションも表示がなく、入り口で手渡される配置図と自分のいる場所とを照らし合わせて、地球儀の明かりを頼りにそれが何を表しているのか見つけ出します。サブギャラリーには展示方法の異なる3種の地球儀を設置。そのうちのひとつは「ライブ・グローブ」と名付けられ、アクリル半球に回転する実際の地球映像を投影しました。

会期:1990年4月24日〜6月23日
会場:P3 Alternative Museum, Tokyo
主催:P3 Alternative Museum, Tokyo
協力:東京ドイツ文化センター、Lufthansa、日本電気株式会社

アーティストトーク

出演:インゴ・ギュンター
日程:1990年4月27日、28日