フリージャズ・シーンで活躍するコルネット奏者のブッチ・モリスが指揮を取り、その手の動きに合わせて即興演奏する「コンダクション」。1992年9月にビデオ上映とトーク、翌年3月に公開ワークショップと和楽器・西洋楽器によるコンダクションを開催しました。

 

「コンダクション」、すなわち指揮された即興という考え方は、即興演奏家たちの国際的な音楽交流の機会が増えるに従って発展してきました。その目的は、集団即興演奏に自然発生的な形式と焦点を与え、また意志の疎通を拡げることです。

「コンダクション」とは一種の合奏であり、集団即興演奏に与えられたひとつの芸術形式です。それはカテゴリーや文化に左右されない音楽であり、あらゆるものを受け入れながら、それ自身を見失わず、その瞬間において生み出される新しい文化です。

「コンダクション」は個人の歴史をひとつの美的集団に変化させます。

20世紀に入って芸術は大幅に発展してきました。そこには良いものも悪いものもありました。しかし、この100年間、指揮台の上では意志伝達の手段としての音楽の発展はほとんど見られませんでした。

「コンダクション」は合奏と指揮者が作曲の発展段階において同じ役割を果たすことを可能にするのです。そして聴衆はこの作曲のプロセスを、じかに観ることができるのです。

即興演奏家の国際交流には偉大な未来が横たわっています。そして将来の挑戦に値する作品が生み出されることは疑いもありません。

ローレンス・ブッチ・モリス

 

 

コンダクションについてのレクチャー

開催日:1992年9月26日

会場:東長寺講堂P3

出演:ブッチ・モリス 

 

ワークショップとコンダクション

開催日:1993年3月27日・28日

会場:東長寺講堂P3

 

3月27日:

昼 公開ワークショップ

夜 和楽器のみのアンサンブル・コンダクション+書道パフォーマンス 

和楽器+西洋楽器 全員によるコンダクション


3月28日:

昼 公開ワークショップ

夜 西洋楽器のみのアンサンブル・コンダクション+舞踏

全員によるコンダクション

 

出演:ブッチ・モリス、和楽器=沢井一恵(箏)、一噌幸弘(横笛)、大倉正之助(太鼓)、桜井真樹子(声明)、佐藤通弘(津軽三味線)、大由鬼山(尺八)、西洋楽器=三宅榛名(ピアノ)、金子飛鳥(バイオリン)、梅津和時(バスクラ)、豊住芳三郎(パーカッション)、千野秀一(キーボード)、大友良英(ターンテーブル)、吉沢元治(ベース)、スティーヴ・ベレスフォード(アコーディオンほか)、松本硯之(書道)、大野一雄(舞踏)