国内最高水準の音響設備を備えるホールとして、2008年に福島県いわき市にオープンしたいわき芸術文化交流館アリオス(以下アリオス)。いわき市が広域なため、来館が難しい市民のために音楽家が公民館などに出向く「おでかけアリオス」など、アウトリーチプログラムも充実している活動熱心な公共ホールです。同市はブラスバンドの活動に熱心に取り組み、全国大会で常に上位に入っていることもあり、音楽中心の施設づくりをしています。

P3は、アリオスに気軽に足を運んでもらうプログラムの一環として、オープン当初の2008年から継続して、アーティストと共にアートプロジェクトを展開しています。

 

会期:2008年〜

会場:いわき芸術文化交流館アリオスほか

https://iwaki-alios.jp

 

2008年~:

藤浩志「アリオス・プランツ!」

「アリオスから発芽する出来事」をテーマに、アリオスやまちなかを舞台に面白いことや大切なことができないかという“モヤモヤ”したアイデアの種を持ち寄り、市民との対話を重ねながらアイデアの種を“発芽”させていこうというプロジェクト。美術家・藤浩志の発案で2008年に始まり、いわき市民を巻き込みながらの会議・活動を重ね、「プランツ!」を経てたくさんの芽が発芽しています。

https://www.fujistudio.co

 

藤浩志「かえっこバザール」

遊ばなくなったおもちゃやグッズ、アクセサリーなどを子どもたちが持ち寄って、みんなでとりかえっこして遊べる、お金のいらない遊びのお店。おもちゃを世界共通の子ども通貨(遊びの通貨)「カエルポイント」に交換する仕組みを使って、子どもたちが自発的に様々な活動や体験をする遊びの場です。藤浩志の発案で生まれ、全国各地で開催されています。

アリオスでは2008年より実施し、福島県内初開催にも関わらず、たくさんの親子連れが続々とおもちゃの袋を抱えて参加。かえっこを機に初めてアリオスに足を運んだ人も多くいました。

https://www.fujistudio.co

 

2009年:

KOSUGE1-16「どんどこ!巨大紙相撲 いわき場所」

2年目を迎えた「プランツ!」で、施設の可能性をさらに広げる活動を目指してスタートしたプロジェクト。いわき市の特性である面積の広さを活かし、各地区で段ボール製巨大力士を作るワークショップを開催、アリオスでの千秋楽で対戦させました。

 http://kosuge1-16.com


2010年:

KOSUGE1-16「コロコロ集会」

少しでも多くの市民にまちなかを行き来してもらおうというプログラム。車と徒歩の間にある移動手段として、自転車、スケートボード、車椅子など車輪付きで人力の乗り物に着目して「コロコロ」と呼び、これらを活用してまちの魅力を発掘、「コロコロ集会」でリサーチ結果を話し合いました。

 http://kosuge1-16.com


KOSUGE1-16「コロコロまち双六 ~じゃんがら自転車プロジェクト~」

沖縄・コザを拠点に活動する「スタジオ解放区」の林僚児、野原大介とのコラボレーション企画。「コロコロ集会」の集大成として、まちなかのビルの一室に、いわき市平(たいら)のまちなかで撮った写真やスケッチを素材とした“まち双六”を出現させました。また、アリオスインフォメーションカウンターでは、いわきの伝統芸能じゃんがらに構想を得た特別仕様のレンタサイクル「じゃんがら自転車」を貸し出し、実際にまちなかをコロコロすることもできました。

 http://kosuge1-16.com


2010-2012年:

岩井成昭「いわきぼうけん映画祭」「ターニング・ヴィジョンズ」ほか

「プランツ!」から派生した映画・映像好きな人たちによる「いわき映研部(いわき映画・映像研究部)」は、市内に映像文化を定着させることを目的としつつ、映像を使って「何か面白いこと」ができないか、試行錯誤の実験を愉しんでいくという市民団体です。いわき映研部が実行委員会となって、2011年2月に「いわきぼうけん映画祭」を開催。地域での映像づくりについてアーティストの岩井成昭に基本的な考え方を学ぶワークショップも実施されました。

https://p3.org/tv/

 

2013年:

小沢剛ワークショップ「かみぶくろのくににようこそ」

美術家の小沢剛による「ふくろのくににようこそ」ワークショップ。身近にある紙袋が、帽子に、服に、靴に変身。洋服ができたら、紙袋の洋服を着た子だけが入国することのできる「ふくろのくに」へ冒険に。参加者は身近な紙を使った様々な遊びを楽しみました。

アリオスのページへ

https://www.ozawatsuyoshi.net


2015年:

小沢剛「あなたが誰かを好きなように誰もが誰かを好き」【劇場版】

直径8メートルの巨大な山に、100枚以上もの布団が重ねられた「ふとん山」。現代美術家の小沢剛が子どもたちのために作ったこの作品は、2005年にオーストラリアのブリスベンで公開されて以来、バンコク、東京、広島市、愛知県豊田市、福島市、香川県丸亀市を旅し、各地で大人気を博してきました。登ったり滑ったりして自由に遊ぶことができる「ふとん山」は、自分が描いた大好きな人の絵を見知らぬ誰かに届けてくれるポストでもありました。絵は会場に展示された後、作家と一緒に次の開催地に旅立ちました。

アリオスのページへ

https://www.ozawatsuyoshi.net


2015年:

西尾美也ワークショップ「ふくのあそびかた」

美術家の西尾美也が提案する、服を使った様々な遊び/アートが体験できるワークショップ。目隠しをして服を選んで着る「くらやみおきがえ」、止まったマスの指示に従って着方を変える「きかたすごろく」、袖や穴がたくさんある変な服を工夫して着る「くふぅく」、服に隠れた物語を書いたり読んだりできる「服の図書館」、土台の白い服に取り外し可能なパーツを自由に引っ付けてカラフルな服を作る「みのむしドレス」、はさみやミシンを使ってリメイク体験ができる「テーラー工房」など。毎日あたりまえのように着ている服が違って見えてくるワークショップです。

アリオスのページへ

http://yoshinarinishio.net

 

2017-2019年:

西尾美也「感覚の洗濯」いわきツアー 2017-2019

https://p3.org/projects/nishio_los_iwaki/

http://yoshinarinishio.net


2017年から西尾美也が福島県いわき市内で展開してきた「感覚の洗濯」プロジェクト。3年にわたったプロジェクトの最終回として、いわきアリオスのデッキテラス約400メートルに洗濯物を干す大インスタレーションを展開。同時に、これまでのワークショップの様子やリヤカー「モバイルランドリー」を引いて市内各地を訪ねた足跡を、4本の映像作品にして展示しました。